FinOpsの用語集(FinOps Terminology)
世界中の実践者が使用し ているFinOpsの概念と関連用語の用語集です。このリソースには、FinOps Foundationのウェブサイト、教育コンテンツ、トレーニングコンテンツで使用される用語をより深く理解できるように、財務およびビジネスの用語と定義が含まれています。
このページには、ワーキンググループ(Working Group)の成果物や、アセットが追加された際、用語が追加されます。特定の用語グループに移動するには、目次を使用してください。
FOCUSプロジェクトの導入に伴い、FinOpsで一般的に使用される一部の用語は、FOCUS仕様で定義されたより具体的な定義を持つようになりました。FOCUS用語集には、FOCUSおよびそのデータセットに関連する用語が含まれています。本書にある一般的な定義と相違がある場合は、FOCUSドキュメントで使用される具体的な定義として、その用語集を参照してください。
異常管理
異常管理
異常管理(Anomaly Management)とは、予期しない、または予測(Forecasting)されていないクラウドコストのイベントをタイムリーに検出、特定、明確化、アラート通知、管理する ケイパビリティです。これにより、ビジネスやコストなどへの悪影響を最小限に抑えます。
クラウドコストの異常
FinOpsにおける異常(Anomaly)とは、過去の支出パターンから想定されるよりも大きなクラウド支出の増加をもたらす、予測不可能な変動のことです。
予測不可能な変動
単に「外れ値」(異常を特定するアプローチの一つ)について話しているのではないことに注意してください。実際には、特定の期間における「期待される」または「予測される」コストを特定し、その期間に累積された実際のコストを測定することを目指しています。
異常とみなされる変動のレベルは、企業の規模や業種、クラウドの利用規模、および個々の運用のその他の変数によって大きく異なります。
コスト主導の異常
コストの異常検出は、想定される支出ペースからの逸脱を特定することに焦点を当てます。異常検出のクロール(Crawl)またはウォーク(Walk)フェーズにあ る組織は、通常、コストの増加のみに焦点を当てます。異常検出システムとプロセスを立ち上げたばかりの企業は、設定を微調整し、アラートや通知のプロセスを検証する必要があります。通常、誤検知(False positive)を許容できるレベルまで下げて、シグナル対ノイズ比を改善するには時間がかかります。
組織は主にコストの増加を優先しますが、成熟した(すなわちラン(Run)フェーズの)FinOps組織は、コストの減少も調査すべきです。コストの異常は、潜在的な技術的またはビジネス上の問題のインジケーターとなる場合があります。例えば、オートスケーリング(Autoscaling)システムの誤設定はコストの増加を招く可能性があり、スケールアップに失敗した場合はコストの減少を招く可能性があります。通常、このような問題を特定する他のシステムが導入されているため、ほとんどの組織はコストの増加のみに厳密に焦点を当てます。
過去のパターン
ほとんどの異常検出システムは、過去のデータを異常検出の基準として利用します。システムの洗練度は、単純な支出の増加率から、過去の支出パターンを理解する機械学習ベースのモデルまで多岐にわたります。しかし、これらは依然として過去のデータからの学習に基づいており、将来の状況を認識していません。将来の状況を認識していないことのデメリットは、誤検知が増えることです。
より高度なシステムは将来の状況を認識しており 、予測(予算)やイベントデータをモデルに含めます。これらのシステムは、過去のデータと将来のデータを組み合わせて、過去のデータ単独よりも高い精度で異常を判定します。予測データは比較的高いレベルで集計されることが多いため、過去のパターンを理解しなければ実用的ではありません。
具体的には、予測は通常、月ごと、部門レベル、リソースタイプごとに行われます。特定の月のコンピューティングリソースコストが前年比で25%増加すると予測できることは有用ですが、それだけでは不十分です。支出パターンには日々の変動があり、それは過去のデータで確認できますが、月次の集計では失われてしまうためです。
重大度
変動に関する議論をさらに進めると、最小しきい値を設定した後も、影響の小さい異常と影響の大きい異常を区別する必要があります。通常、ビジネスユーザーが「低・中・高・重大」といった異常の定義をある程度コントロールでき、高・重大の異常に対してのみアラートを設定し、低・中の異常はオフライン分析用に残しておけるようにすることが最善です。
また、1日のうちで、異常が最初は低い重大度で始まっても、コストが累積するにつれて、高または重大なレベルにエスカレートする可能性があることにも注意してください。
時間軸
ここが、異常検出プロセスと予算管理が異なる点です。
予算は通常、月次、四半期、または年次ベースで作成および監視されます。これでは、日中の変動を見つける余地がありません。異常検出は、1日、または異常が持続する連続した日数の時間軸で最も効果的に機能します。
クラウドコスト管理
配賦メタデータ
コストを分類するために使用される情報であり、CSPの構造(AWSやAzureのリソースタグ、GCPのラベルなど)にカプセル化されています。この文脈において、メタデータは、個々のリソースにタグやラベルが付与される「リソースメタデータ」と、リソースをグループ化する他の構造に分類が適用される「階層メタデータ」に区別できます。注意:FOCUSプロジェクトは、任意のクラウドまたはその他のFOCUSデータ生成元からのリソースメタデータを表すために、列名「Tag」を選択しました。配賦メタデータの例は以下の通りです。
- GCPの「ラベル」および「請求アカウント」
- AWSの「リソースタグ」、「メンバーアカウント」、「Organizations」
- Azureの「サブスクリプション」、「リソースグループ」、「リソースタグ」
アモルタイズコスト
一部のクラウドリソースやリザーブドインスタンス(Reserved Instance)などのコミットメントには、前払い料金が発生します。リソースのアモルタイズコストは、この初期支払いを考慮し、使用量に基づいて分配し、請求の各時間に対して按分されたコストを割り当てます。
コストと使用状況データ
課金対象のクラウドサービスが消費されたときに、CSPが公開し、ネイティブのコストデータを取得できるデータソースです。データソースの例は以下の通りです。
- AWS CUR(Cost & Usage Report)
- Azure Consumption API、Azure Cost Management Exports
- GCP BigQuery Cloud Billing Data Tables、GCP Cloud Billing Report
予算編成
企業が特定の期間内に支出することを計画している収益と費用の見積もりです。これにより、企業は財務状況を継続的に追跡 できます。
予算対実績(BvA)
FinOpsチームまたは実践者(FinOps Practitioner)は、BvAと予測(Forecast)を比較したレポートを提供し、トレンドを確立し、差異KPIと比較できます。
この作業は、予測モデルの精度を測定するために使用されます。
チャージバック
チャージバック(Chargeback)とは、ITサービスの実際の消費支出を組織の財務システムにおけるP&L(損益)予算および勘定科目に請求するレポートを作成する配賦(Allocation)戦略です。チャージバックレポートは社内で「請求書」と呼ばれることがあり、通常、組織全体で重複しないように作成されます。チャージバックは、ビジネスユニット(Business Unit)にIT支出の直接的な責任を持たせる方法であり、IT財務統合(支出を適切なコストセンター(Cost Center)や予算に配賦するため)を必要とします。
チャージバックレポートは、通常、組織の財務予算編成(Budgeting)および会計のタクソノミー(分類法)に一致します。チャージバックの使用は、会計および財務のプロセス統制に影響を与える可能性があり、実現および管理には財務グループとの明確なコミュニケーションが必要になることがよくあります。
コスト配分
クラウドの請求書を分割し、各コストセンターにコストを関連付けるプロセスです。チームがコストの配分方法を理解し、一元化され、管理され、一貫したコスト配分戦略を持つことが重要です。_共有コスト(Shared Costs)_も参照してください。
コスト回避
回避(Avoidance)とは、延長サポート費用を避けるために古いソフトウェアをアップグレードするなど、将来の支出を避けるために取られるアクションです。例えば、2月1日にアクションを実行したものの、1日あたり100ドルのコストが3月1日まで発生しない予定であった場合、1日あたり100ドルの回避は3月1日から始まります。回避は価値があり重要です(ランレート削減(Run Rate Reduction)よりも好ましい場合もあります)が、開始時点と比較して支出の絶対額を下げることにはつながりません。
コスト見積もり
プロジェクトを完了するために必要となるすべてのリソースを定量化するプロセスであり、予算の作成にも使用されます。
クレジット
企業は、ベンダーからのクレジット(Credit)を受け取る資格を得る状況に直面することがあります。これは、意図的な決定(AWS MAPクレジットなど)による場合もあれば、意図しない状況(請求ミスや、消費を増加させるソフトウェアの不具合など)による場合もあります。通常、CSPはクレジットを獲得するために必要な、正式なSLA違反プロセスやクレジット適用手順を設けています。
予測
予測(Forecasting)とは、通常、過去の支出と将来の計画の評価を組み合わせて将来の支出を予測するプラクティスです。将来のクラウドインフラストラクチャやアプリケーションのライフサイクルの変更が、現在の予算にどのように影響し、予算計画や将来のクラウド投資決定にどのように影響するかを理解します。このケイパビリティには、財務(Finance)、エンジニアリング(Engineering)、経営陣などのステークホルダーチームが協力して、ビジネス目標に沿った予算を確立するための、合意された予測モデルやKPIを構築することも含まれます。