FinOpsとは
『FinOpsとは、クラウドのビジネス価値の最大化、データに基づいたタイムリーな意思決定、エンジニアリング、財務、ビジネスチーム間のコラボレーションを通じて財務上の説明責任を生み出すための運用フレームワークおよび組織文化的なプラクティスです。』
FinOps Foundation技術諮問委員会
更新日: 2023年12月
FinOpsの本質は、組織文化的なプラクティスにあります。これは、チームがクラウドコストを管理する方法であり、中央のベストプラクティスグループのサポートを受けながら、全員が自身のクラウド使用量に対して当事者意識を持つことです。エンジニアリング、財務、プロダクトなどの部門を超えたチームが協力し合うことで、より迅速な製品デリバリーを可能にすると同時に、より高い財務管理と予測可能性を得ることができます。
『FinOps(フィンオプス )は 「Finance(ファイナンス)」と「DevOps(デブオプス)」を組み合わせた造語で、ビジネスチームとエンジニアリングチーム間のコミュニケーションとコラボレーションを重視しています。』
このプラクティスには「クラウド財務管理(CFM: Cloud Financial Management)」、「クラウド財務エンジニアリング(Cloud Financial Engineering)」、「クラウドコスト管理(Cloud Cost Management)」、「クラウド最適化(Cloud Optimization)」、「クラウド財務最適化(Cloud Financial Optimization)」など、他のさまざまな名称があります。
『Cloud FinOpsは「クラウド財務運用(Cloud Financial Operations)」と誤って解釈をされることもありますが、財務部門に存在するより一般的な「財務運用(Financial Operations)」の役割との曖昧さから、次第に使われなくなっています。』
呼び名にかかわらず、FinOpsは、クラウドの変動支出モデルに財務説明責任の組織文化的変革をもたらすプラクティスです。これにより、分散したエンジニアリングチームとビジネスチームが、クラウドアーキテクチャーと投資の意思決定においてスピード、コスト、品質の間でトレードオフを行うことができるようになります。
『FinOpsの目的が単なるコスト削減だと思えるなら、もう一度考え直してください。FinOpsはクラウドから最大限の価値を引き出し、効率的な成長を促進することを目的としています。』
クラウドへの投資は、収益の増加、顧客基盤の成長シグナル、製品や機能のリリース速度の向上、さらにはデータセンターの閉鎖を支援することもあります。FinOpsの目的はさまざまな阻害要因を取り除き、エンジニアリングチームがより優れた機能、アプリケーション、移行をより迅速に提供できるようにし、どこにいつ投資するかについて部門を超えての話し合いを可能にすることです。ビジネスチームは、ときに引き締めの決定を行うこともあれば、より多くの投資判断をすることもあります。今ではなぜそのような決定を下すのか、FinOpsによりエンジニアリングチームも理由が分かっています。
FinOps学習の始め方
FinOps Foundationは、理解度や時間的な余裕に応じて、この分野について学ぶためのさまざまな方法を提供しています。
- GoogleスライドやPowerPointでFinOps入門スライドをダウンロードする
- YouTubeでFinOps入門を視聴する
- FinOpsフレームワークを確認する
- FinOpsアセットのガイドとプレイブックを閲覧する
- 組織におけるFinOpsの採用について読む
- FinOpsコミュニティーイベントに参加する
- Cloud FinOpsの書籍を読む
- FinOpsの現状の年次調査を調べる
- FinOps認定を取得する
FinOpsフレームワーク:クラウドのビジネス価値の最大化
FinOpsの原則
6つのFinOpsの原則は、FinOpsプラクティスの活動を導く、航海士にとっての北極星のような重要な道しるべです。
主要 なステークホルダー
クラウドCoEなどの中核的なFinOps機能は組織の変革を実現するために作用するかもしれませんが、FinOpsは単一の個人やチームによって実行されるものではなく、むしろ異なるエンジニアリング、財務、ビジネスの各チームの連携方法を変えるものです。エグゼクティブ、エンジニア、FinOps実践者、運用、財務、調達など、組織内のあらゆるレベル、あらゆる分野の個人が、FinOpsの実践において異なる役割を果たすことができます。
詳細については、FinOpsのペルソナとロールをご覧ください。
成熟度モデル
FinOpsの実践は本質的に反復であり、特定のプロセス、機能的なアクティビティ、ケイパビリティ(能力)、ドメインの成熟度は、繰り返すことによって向上します。「クロール」ステージの組織は一般的に、非常に反応的で、問題が発生した後の対処に重点を置いています。一方、「ラン」ステージのプラクティスでは、アーキテクチャー設計の選択や継続的なエンジニアリングプロセスにコストを積極的に織り込んでいます。
FinOpsを実行するための「クロール、ウォーク、ラン」という成熟度アプローチにより、組織は小規模から始めて、ビジネス価値を機能的なアクティビティの成熟の根拠とし、規模、範囲、複雑性を拡大させることができます。小規模かつ限定的な範囲で迅速なアクションを起こすことで、FinOpsチームはそのアクションの結果を評価し、より大規模、より迅速、より粒度の細かい方法でさらなるアクションを起こす価値について洞察を得ることができます。
詳細については、FinOpsフレームワークのFinOps成熟度をご覧ください。
FOCUS:クラウド請求データの統一フォーマット
FinOps Foundationは、クラウドのコストと使用量の請求データに関するオープンソースの技術仕様の開発を支援しています。FinOps Open Cost and Usage Specification(FOCUS)™と呼ばれるこの仕様は、クラウドベンダーが一貫性のあるコストと使用量のデータセットを作成するための統一されたフォーマットを定義しています。FOCUSは、FinOps実践者がデータに基づいた意思決定をより簡単に実現し、クラウドのビジネス価値を最大化すると同時に、クラウド、ツール、組織間でFinOps実践者のスキルを より活用できるようにします。
Microsoft Azure、Google Cloud、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)、Amazon Web Services(AWS)などの大手クラウドサービスプロバイダーはすべて、ネイティブコンソールから直接FOCUS形式のコストと使用量の請求データのエクスポートする機能を提供しています。いくつかのFinOpsツールベンダーもFOCUSデータをサポートし、FOCUS属性とメトリクスを使用してレポートを生成します。
FinOps実践者は、各クラウドからFOCUSデータを取得する方法について詳しく学ぶことができます。