計画と見積もり(Planning & Estimating)
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組織のテクノロジー環境において、特定のモデルでワークロードを実装した場合の、潜在的なコストと価値の見積もりおよび探索。これには、自動化、サステナビリティ、最適化の機会の検討も含まれます。
テクノロジーカテゴリにおけるシナリオの探索
- 見積もりのスコープを定義する
- 見積もりに必要な詳細度を定義する
- 将来状態のパラメータをモデル化する
定義されたシナリオのビジネス価値の見積もり
- 計算ツールや見積もりツールを使用して、コスト、使用量、環境への影響などの関係性を探索する
- 類似のアプリケーションやシステムと比較する
- 過去のコストやテクノロジー需要のメトリクスから推測する
- 将来計画の予想される影響を文書化する
- 試行運用や非プロダクション環境を使用して見積もる
- 料金、ポリシー、炭素目標、共有サービス、その他のサポートコストを組み込む
実装計画
- 概念実証(Proof of Concept: PoC)を計画する
- 予測モデルを調整するための推奨事項を提示する
定義
さまざまなテクノロジー カテゴリ(例:クラウド、データクラウドプラットフォーム、データセンターなど)で利用可能なサービスが多岐にわたり、頻繁なアップデート、新しいサービス、マネージドサービスが存在し、アプリケーションを構築できるモデルも多様であるため、ワークロードやシステムの将来コストを見積もるには、堅牢なプラクティス群が必要です。また、組織はサステナビリティ目標に照らしてリソース消費を見積もり、計画する必要があります。見積もりは、単一のサービス変更から、データセンターからクラウドへのアプリケーション全体の移行まで、あらゆるスコープで実行できます。多くの場合、さまざまなシナリオの下で将来のビジネス価値を比較するために、複数の見積もりを作成します。
見積もりは主に、FinOpsチームのサポートを受けたエンジニアリング(Engineering)ペルソナが主導します。見積もりが特に重要、影響が大きい、または複雑な場合、あるいは見積もりのために試行予算が必要な場合は、プロダクト(Product)、財務(Finance)、またはリーダーシップ(Leadership)からのインプットが必要になることがあります。
計画と見積もりは、予測(Forecasting)と密接に関連しています。見積もりは、移行、実装、またはモダナイゼーションの計画を作成するために、さまざまなシナリオやユースケースにおける将来の潜在的なコストを理解することを目的として行います。見積もりは予測へのインプットとなり、計画された変更に対してより詳細な予測モデルが作成され、維持されます。予測は、エンジニアリングチームやプロダクトチームが達成責任を持つ、予想される支出と価値創造を表します。
対照的に、計画と見積もりは探索的なアイデア出しです。これはテクノロジーコスト予測へのインプットを生成しますが、他の目的でも行われます。見積もりは、「クラウド向けアーキテクチャ設計(Architecting for Cloud)」、「ワークロードの最適化(Workload Optimization)」、あるいは「ワークロードのオンボーディング(Onboarding Workloads)」といった、「使用量とコストの最適化(Optimize Usage & Cost)」ドメインの活動をサポートするために頻繁に実行されます。
将来のコストを見積もる際、組織は見積もるべき適切なシナリオを定義する必要があります。これには、見積もり対象となるサービス、アーキテクチャ、またはその他の変更の理解、組織が使用するテクノロジーデプロイメントパターン、および他者に伝えるべき重要な見積もりパラメータの把握が含まれます。特定の変更に対して、さまざまなシナリオが作成される場合があります。例えば、エンジニアリングチームは、ワークロードを仮想マシンからマネージドサービス、Kubernetes環境、またはサーバーレスコンピューティングモデルに移行する影響を見積もり、それぞれのコスト、労力、影響を比較検討します。
テクノロジーコストを見積もるために、以下のようなさまざまな手法を利用できます。
- コスト計算ツール(Cost Calculators) – ほとんどのクラウドプロバイダーや一部のサードパーティが提供しており、チームは使用予定のサービスのコストを見積もることができます。計算ツールは、単純なサービスの置き換えを見積もるには効果的ですが、組織の環境に現在存在しないアプリケーションや環境 全体を見積もる場合には、あまり効果的ではありません。
- 炭素計算ツール(Carbon Calculators) – 現在の炭素排出量(Carbon footprint)を見積もるために、サービスプロバイダーやサードパーティが提供するツールを活用できます。
- 類似のアプリケーション – 一貫したアーキテクチャやアプリケーションを持つ組織では、新しいシステムが同様のパターンに従うことがあります。これにより、エンジニアは類似システムのコストとパフォーマンスを比較し、新しい変更やワークロードの見積もりを開始する手がかりを得られます。
- 過去のコストからの推測 – 既存システムにおける変更の見積もりは、個々のサービス変更や使用量を切り出し、現在のコストから推測することで容易になります。これは、大規模システムにおける局所的なサービス変更を見積もる際に効果的です。
- 将来計画の予測 – 従量課金制サービスを利用することで、組織はリソースが実際に必要になるまでアプリケーション環境を実装しないことでコストを削減できます。システム全体の大規模な見積もりでは、必要なすべてのリソースと環境の段階的な実装を組み込む必要があります。例えば、クラウドに構築される新しいシステムでは、開発環境とテスト環境を最初に起動し、開発が完了に近づく数ヶ月後に本番環境を起動することがあります。すべての環境を一度に立ち上げるのではなく、将来の計画と段階的な実装をこれらの見積もりに組み込むべきです。
- 試行運用による見積もり – 一部のクラウドや従量課金制サービスは、Infrastructure as Code(IaC)のスクリプトなどを使用して迅速に作成および削除できるため、実際にクラウド上に環境を作成し、短期間(1〜3日など)実行した後に削除することで、環境のコストを正確に見積もることができます。この試行運用には少額のコストが発生し、これはR&D予算や事前に予算化された資金から賄う必要がありますが、環境作成スクリプトのテストに加えて、非常に現実的な見積もりを得られます。
これらすべてのケースにおいて、エンジニアリングペルソナはFinOpsチームと連携し、見積もりがポリシー(リソースの作成場所、使用するリソースタイプ、適切なアーキテクチャモデルなど)に準拠していること、料金見積もりが適切であること(オンデマンド料金、割引料金、予想されるコミットメントレベルなど)、およびシナリオに共有コスト、プラットフォームの調整、またはその他のサポートコストや影響の見積もりが含まれていることを確認する必要があります。これらの影響には、金銭的コストだけでなく、検討中の変更によるサステナビリティへの影響や運用上の影響など、他の要素も含める必要があります。
見積もりシナリオは、予測プロセスや、見積もり作業の契機となった最適化プロセスへのインプットとして利用できます。見積もりや、より具体的なコスト情報の取得にPoC予算が必要な場合、財務チームがその予算を提供する役割を担うことがあります。
残念ながら、すべての状況に適合する単一の見積もり方法はありません。テクノロジー支出は変動することが多く、本質的に予測が困難です。また、エンジニアは通常、調達プロセスを経ることなく、いつでも環境やワークロードを作成でき ます。そのため、十分に理解されたパラメータ、シナリオ計画、ツール、および文書化の期待値を備えた、確立された見積もりケイパビリティを持つことが重要です。
成熟度アセスメント
クロール(Crawl)
- 単純または一貫したアプリケーション構築パターンが使用されており、必要となる見積もり手法は少なく、より単純である
- 組織のクラウド支出が低いか、あるいは未成熟であるため、見積もりに極めて高い詳細度や正確性は要求されない
- 組織全体のステークホルダーが予測にさまざまなクラウドコストデータソースやツールを使用しており、一貫性は要求されない
- 処理量が少ない、またはシナリオ計画が単純であるため、見積もりは手動かつアドホックに文書化される
- 複雑なメカニズムよりも、トレンドベースの推測への依存度が高い
- (ビジネスユニットやコストセンターなどによる)統合された見積もりの可視化に対するニーズが限定的である
- 見積もりを完了するために必要な共有コストや追加コスト要素がほとんどない
- エンジニアリングチームが見積もりの作成に関与しているが、実績値 との乖離を追跡するニーズはほとんどない
- クラウドサービスプロバイダーのツールやダッシュボードを使用して、現在の炭素排出量を測定している
- クラウドのリソース使用量と炭素排出量への影響との相関関係を認識している
ウォーク(Walk)
- より多様なアプリケーション構築パターンが使用されているか、または複雑なクラウド利用があるため、より多くの見積もり手法を使用する必要がある
- 見積もりがサービスレベルでより詳細になり、組織的に高い見積もり精度が要求される
- 見積もりにクラウド料金の最適化、コミットメントベースの割引、および炭素目標が組み込まれている
- 見積もりが定期的なサイクルで実行され、一貫して文書化されているが、自動化はされていない
- FinOpsのコアペルソナおよび関連ペルソナ(プロダクト、リーダーシップ、エンジニアリング、財務、サステナビリティ)がクラウドコスト見積もりデータにアクセスできる
- FinOpsチームが、ステークホルダーチームと共に見積もり精度やトレンドを定期的にレビューするサイクルを設けている